ドライビング・スクールのススメ

 

ワタシこと「くにやっこ」はボクスターに乗り始めてまだ数ヶ月。走行距離はまだ1万キロにも満たないボクスター初心者ですが、素人にもボクスターが素晴らしいクルマであることは直感的に分かります。街中も快適に走れて、高速道路もスタビリティの高い走りで疲れ知らず。山道も思い通りに走ってくれて、ノーマルのままでもサーキットをガンガン走ることができる。こんなクルマはそうそうないですよね!

 

そんなボクスターを、より安全に、より思い通りに操れたら、もっともっと楽しくて素敵だと思いませんか?

 

今までよりも安全マージンが増えれば、クルマをもっと自由に操れるようになれば、今まで以上にボクスターという超高性能車の価値が分かるようになると思います。

 

ボクスターという素晴らしいクルマの能力を是非とも満喫しようではありませんか!

 

 

このたび「BOXSTER'S PLEASURE」WEBMASTERのさちおさんと「埼玉僕星団」団長のKOUさんのご厚意により、こちらのスペースをお借りして、ワタシがドライビング・スクールに何回か通って感じたこと、考えたこと、得られたことについてお話ししさせていただくことになりました。

 

非常に長文ですが、みなさま最後までよろしくお願いします。

 

注1)        ワタシの運転技術は、ドライビング・スクールに行ったことによって意識が変わり、以前の自分と比べれば確実に上手くなったとは思っております。ただし絶対レベルではまだまだ未熟者ですので、「その程度でオマエは運転が上手いつもりなんか〜〜!」という鋭いツッコミはご容赦くださいませ。本人、重々承知しておりますので・・・。

 

注2)        ワタシは運転の達人でもインストラクターでもないフツーの素人です。なので、以下の文章ではドライビング・テクニックについての説明はあまり出てきません。主にドライビング・スクールでのエピソードや、クルマの操作方法やつきあい方に関する考え方・意識についてのお話しが中心です。それもYRSで学んだことの受け売りばっかりです。素人なのでその辺のところはどうかご勘弁を・・・。というわけで、正しい知識は、必ず経験を積んだプロフェッショナルの方から各自が説明を受けて下さい。その点、あらかじめご了承下さいませ。

 

注3)        ワタシとYRSの間には利害関係は一切ございません。ただワタシの経験をお話ししているだけです。またこのページの内容についてYRSに直接問い合わせることはご遠慮下さい。ご意見ご質問はくにやっこまでお願いいたします。

 

 

 

1話 ボクスターが来た! 走った! そして考えた!

 

2002年の3月初旬、待ちに待ったボクスターが納車されました。それまでは1991年式のユーノス・ロードスターに新車から10年間ちょっと、93000キロも乗っておりました。その間にイジった箇所は数知れず。最後までノーマルのままだったのは、ミッションと(なぜか(^^;)デフぐらい。エンジン・フルバランスにソレックスキャブ、足回りは減衰力調整式の車高調といった具合でした。10年間でいろいろな道を走り込みましたし、ワインディングをそれなりに攻めたりもしました。そんな経験を積む中で、自分は運転がソコソコ上手いし、クルマの挙動も理解しているゾと思いこんでおりました。(今、思うとすごく恥ずかしいのですが、まったくの大きな勘違いです!)

 

 やって来たボクスターは左ハンドルの5MTです。走り出してまず感じたことは、マニュアル車を10年も運転していたのに何で満足に右手シフトができないのか!ということでした。「ど〜して左手と同じ動きが右手だとでけんの! もう、手足の動きが全然バラバラやん!」とニセ関西弁で自分にツッコミをいれつつ、ひたすら走り込みました。そして4月初旬には、不治の病とされている「ロングラン病」が発病し、「独りキャノンボール! 目指せ、出雲大社」旅行に出発しました。そして2000キロあまりを後にするころには、何となくクルマにも慣れてきたと感じておりました。 

「ボクスターはホントにいいクルマだな〜。特に高速走行をしているときって、何であんなに安定していて疲れないんだろう。さすがアウトバーン育ちは違うな〜♪」と感激することしきり。ますますボクスターが好きになっていきました。

 

 左ハンドルにもようやく慣れ、「ある操作」(後述)を除けば何とか一通りの操作が円滑にできるようになってきたとき、頭に浮かんだのは「世界中が絶賛するポルシェの超高性能をもっと良く知ってみたい。このクルマはどんな限界特性を持っているんだろう」ということでした。ただし、先ほど白状いたしましたが、この時点では自分の運転にはソコソコ自信があったのです。なので、運転を習いに行くというよりも、ボクスターの限界をできるだけ安全な環境で試してみたいと思っていただけでした。あ〜恥ずかしい・・・(^^;

 

 

 

2話 ユイ・レーシング・スクール(YRS)との出会い

 

 思い立ったが吉日。早速、Yahoo!で「ドライビング・スクール」や「レーシング・スクール」を検索してみました。でも検索結果は運転教習所やイメージと違うレーシング・スクールばかり。そこでチャネルを切り替えて、クルマ関連のメルマガを検索してみました。そこでユイ・レーシング・スクール(YRS:Yui Racing School)の存在を知り、早速YRSのサイトに行ってみると、いくつかのことが分かりました。

 

1)   RSは筑波サーキットの公式レーシング・スクールであること。

2)   催者のトム・ヨシダさんは、モータースポーツをやるために渡米し、レース活動やジム・ラッセル・レーシング・スクールなどのインストラクターをご経験された方であること。

3)   スクールの基本コンセプトが「安全に速く走るための理論を学び、実践すること」「モータースポーツを身近に楽しく体験すること」にあること。ただしサーキットをコンマ1秒でも速く走ることに主眼があるのではなく、あくまでもクルマの正しい操作を学び、安全に速く楽しく走ることができるようになることが最も大切であると説いていること。

4)   基本カリキュラムとしては「ドライビング・ワークショップ(TDW)」と「ドライビング・ワークアウト(TDO)」の2つが提供されているが、どちらもビックリするほどリーズナブルであること。
  #受講料については、YRSのサイトにてご確認下さい。

    TDW:www.avoc.com → 「School・Event」欄の「ワークショップ」

    TDO:www.avoc.com → 「School・Event」欄の「ワークアウト」

 

サイトの説明を読んでみてもTDWとTDOの対象者の違いがイマイチ分からなかったので、こちらの希望をメールで伝え、どちらが適しているかを質問してみました。すると「クルマの基本操作を学ぶこと、クルマの挙動を理解することについてはTDOの方が適しています」との返事があり、早速TDOに申し込みました。当日を迎えるまでに、YRSサイトで提供されているYRS教科書を読んだり、メルマガのバックナンバーを読みあさったりしながら、YRSのスピリットを理解していきました。
 #みなさんもお時間があれば、是非YRS教科書を読んでみてください。すごく勉強になりますよ!

    YRS教科書:www.avoc.com → 「Yui Racing School」欄の「YRS教科書」

    メルマガのバックナンバー:www.avoc.com → 「Mail Magazine」欄の「バックナンバー」

 

 

 

3話  ドライビング・ワークアウト(TDO)に参加してみました 〜 その1 〜

 

 5月初旬のある日、朝4時に起きてイソイソと筑波サーキットへ向かいました。会場は筑波サーキット内のジムカーナ場。受付開始は6時45分からだったのですが、6時前には着いてしまいました。もちろんまだ誰もいません。かなりドキドキしていました。

6時をすぎた頃、フェンスの向こうから1台のクルマがやってきて、50過ぎの人の良さそうなオジさん(失礼!)が門を開けてくれました。その方がトムさんでした。

7時前から受付が始まり、すぐさまホワイト・ボードを使った座学(といっても野外なので立ったまま(^^;)が始まりました。トランジッション(加速・減速・コーナリングというクルマの3つの動きをつなぐ過渡状態のこと)、スレッシュホールド・ブレーキング、トレール・ブレーキング(ブレーキを残したコーナリング)を使ったオーバルコースの走り方などについて、非常に分かりやすい説明がトムさんからありました。中でも「クルマを速く走らせるためには、クルマが走りやすいような操作をしてあげる必要がある」「操作を雑に素早くやることでドライバーは速く走っているような気になるが、クルマは困ってしまうばかり」「ドライバーが思っている以上に、クルマの挙動変化はゆっくりとしか起こせない」というフレーズにショックを受けました。

 

「果たして、自分はこれまでクルマの都合を考えて、クルマが走りやすいような操作を心掛けてきただろうか?」

「コーナーにブレーキを我慢して突っ込んで、ブレーキをドーンと踏んづけて、ハンドルをバッと切って走るのが『速い走り』だと思っていたカモ・・・」

 

 軽いカルチャーショックをうけつつも、まだ実感としてトムさんの仰っていることが理解できていなかったワタシは、この後の実技でイヤというほど己の未熟さを思い知ることになるのでした。

 

 まずはスレッシュホールド・ブレーキング。2速全開でダッシュして、パイロンのところでフルブレーキングする練習です。「そんなのガーンと踏めば楽勝でしょ。なんたってポルシェのブレーキは世界最高水準なんだから・・・」なんて思っておりましたが、違う、違う(^^;。

加速から減速に転じる段階でクルマ全体がグッと沈み込むような挙動を作ってあげて(トランジッション)、4輪すべてが路面に食いついて制動力を分担するようにしなくては、つまりクルマが減速しやすいような挙動をドライバーが積極的に作り出し、ブレーキ性能とタイヤのグリップ性能を最大限に引き出してあげなくては、クルマは短い制動距離では止まれないのですよ。ガーンとペダルを踏んづけてもブレーキパッドが減るだけで、これではフロントがつんのめってリアは浮き上がり、フロント2輪だけでブレーキングしていることになってしまいます。

 ここではトムさんが一人一人を見守っていて、走った後すぐにアドバイスをしてくださいます。そう、この客観的に見てアドバイスをしていただけることが、すごく勉強になるんですよ。「おっ、今度は上手くいったゾ!」とか思っていても、トムさんに「ダメダメ、もっとクルマ全体が沈み込むまで待ってあげないと」なんてアドバイスをいただいてしまうことになります。自分の主観的イメージと客観的事実とのギャップを埋めることが非常に勉強になるんです。

 

「なんだオレ、10年もスポーツカーに乗ってきたのに、フルブレーキングも満足にできていなかったのか・・・」

 

 

 

4話  ドライビング・ワークアウト(TDO)に参加してみました 〜 その2 〜

 

 スレッシュホールド・ブレーキングの次はショート・オーバルの練習です。1周100メートルぐらいのコースが2つあり、20数台が2チームに分かれて、1台ずつ6周程度走ります。ここでも走った後は、スタッフの方々からすぐにアドバイスをしていただけます。

 オーバルって簡単なように思えますけど、実はすっごく奥が深くて難しい。でもとっても楽しいんですよ。何にも考えずに自分勝手な「速い走りのイメージ」だけで走ると、フロントに十分な荷重をかけておいて曲がろうとしていないのでアンダーステアを出しまくったり、フロント外側のタイヤ1本だけに負担をかけながら「けっつまずく」ようにして走ってしまったり、トランジッションが雑なのでクルマの挙動変化が激しかったりといった、”これをやってはいけません”のオンパレード」になってしまうと思います。

でも最初のうちはインストラクターの方々のアドバイスの意味が十分に理解できないんですよ。じゃあ、どうしたらよいのでしょう?

よく「人のふり見て我がふり直せ」って言うじゃないですか。まさにこの通りで、2つのグループの片方だけが走っていて、残りのグループは走りを見学しているセッションがあるんです。ここでトムさんは「ほらっ、いまブレーキペダルをポンって戻しちゃったから、せっかくフロント荷重になっていたのに抜けちゃってアンダーが出た」なんて解説してくださるんですよ。聞いている者としては、かなり自分にも思い当たるフシがあるんです(でも皆、口には出しませんケド(^^;)。で、密かに「次に自分が走るときにはコッソリ直そう」とか思うわけです。

それでも外から見ているだけではどんな操作をしたらよいのか、例えばどのタイミングで制動力を高めたらよいのか、立ち上がりでアンダーを出さないように加速するにはどの段階でどの程度アクセルを踏んだらよいのか、といったことはなかなか分からないんです。そんな思いが高まったとき、インストラクターの方が参加者のクルマを運転して、同乗走行してくださったんですよ。いや〜〜〜マジで目からウロコがボロボロと落ちました。「クルマって、こうやって操作するのか〜〜〜」ということを、まざまざと思い知った瞬間でした。自分の走りとプロの走りのギャップのデカさを知ることができるだけでも収穫があると思います

 

 昼飯(TDOはお弁当がつきます)を食べて、午後は大きめのオーバルです(確か1周175メートルだったと思います)。ここに2台のクルマがコースインし、反対側から追っかけっこをしながら5〜6周走ります。またタイム計測も行います。いや〜、相手がいると異常に燃えますよ〜(^^;。アドレナリン出まくりですね。レースなんて参加したら、一体どうなっちゃうんでしょうか???

 オーバルはコースレイアウトが簡単ですから、要は同じ曲率のカーブを何度もグルグル走っているだけなんです。ところが別の見方をすると、同じカーブを何度も何度も反復練習することができるので、純粋にクルマの挙動を知るためにはオーバルが一番良いとも考えられるのです。他のドラスクなどで良く見られる、低μ路での真円の定常円を走れば、確かにクルマのアンダー・オーバーの特性は分かるはずです。でもそこではトランジッションを学ぶことはできません。一方、サーキットだと様々な曲率のカーブがあるため、1個のカーブでミスったとしても、またすぐ次の(違う曲率をもった)カーブへ走っていってしまうので、クルマの挙動変化に集中して色々な走り方を試すことは難しいですよね。これができるのがオーバルの良さなんだと思います。

 

 解散したのは夕方の4時前。朝から延べ9時間のカリキュラムが終わりました。非常に大きな満足感、心地よい疲労感、そして色々なことを体験した興奮で頭の中が一杯でした。そしてこの日の一番の収穫は自分の運転技術の未熟さを思い知ったことでした。

 

10年間もスポーツカーを運転してきたのに、クルマの都合をほとんど何も考えないで運転してきたんだナ・・・」

 

そしてこう思ったのです。

 

「よし! これからも努力して、ポルシェというクルマの素晴らしさをもっともっと味わおう!」

 

ちなみに翌日は左のお尻が筋肉痛でした(^^;。フットレストに足を踏ん張りすぎたせいです。

 

 

 

5話 ドライビング・ワークショップ(TDW)に参加してみました 〜 その1 〜

 

 そして1カ月後、今度は筑波1000を走るTDWに参加することになりました。このTDWのカリキュラムは、午前はショート・オーバル、午後は筑波1000での走行練習という豪華2本立てです。なお当日はかなり暑く、お昼には30度を超えていました(^^;;;;;;

 

 例によって、まずは座学からです。講義の内容は前回と基本的には同じだったのですが(カリキュラムは違っても、クルマの運動理論は同じなのですから当然ですよね(^^;)、今回はTDOでの経験を思い出しながら聞くことができたため、とても理解しやすく、非常に参考になりました。特にトランジッションや荷重移動についての説明を聞き逃さないよう、もう一度頭の中に理論をたたき込みます。

 

 そしてジムカーナ場に移動し、オーバルコースを走り始めます(なおTDWではスレッシュホールド・ブレーキングの練習はありません)。1カ月前の記憶をかき集め、必死に「あーして、こーして」を頭の中で整理します。そしてコースイン。心臓バクバクです。レディ、ゴー!

・・・全然上手く走れませ〜ん!(^^; 前回のTDOが終わる頃には結構イイ感じで走れるようになっていたので、今日はチョット自信があったのに・・・。やっぱりまだまだ未熟者なわけです。ローマは一日にして成らず、オーバルも一日にして成らず

 

何周かするうちに、少しは勘所を思い出してきたのですが、いかんせんクルマの操作が急すぎ、アンダー出しまくり、リズムもバラバラ・・・。走り終えた後にはインストラクターの方がアドバイスしてくださるのですが、案の定「クルマの操作をもっとゆっくりと丁寧に。操作をスムーズに連係させてくださいね。」との有り難いお言葉を頂戴してしまいました。前回に比べてひとつだけ進歩があったとすれば、それは「自分の主観的イメージと、インストラクターの方が指摘してくださった客観的事実とのギャップが確実に埋まってきている」ということでした。最初はこのギャップがデカかったんですよ。なんせこれまでは運転にチョッピリ自信があったりなんかしたわけで、「自分の走りはドコが悪いんだろう?」なんて謙虚に考えもしなかったわけです。ということで、自分の運転を感じ取る能力が少しはシャープになってきたようです。「ドライビングに対する感受性」が高まれば、飛躍的に学習能力が向上するのではないかと期待してしまいます(その成果のほどは・・・今のところ明確には分かりません(^^;)。

 

そして何回かの走行セッションと、見学セッションでのトムさんの解説を聞いているうちに、少しずつ感覚が戻ってきました。走行後のインストラクターの方のコメントも「言うことなし。オッケー!(^^)」だったりしてウッシッシ〜です(^^) ところが次のセッションでは、案の定慢心して油断してリズムがつかめずボロボロになり、コメントも「もう全然ダメ。すべての操作が全部バラバラ。ブレーキングも突っ込みすぎ。さっきは良かったのにどうしたの?」なんて感じでした。まだまだ自分の体に正しいクルマの操作が身についていない証拠です。早速頭の中で、コーナーでの通過速度を高めるためには何をすればよいのか、理想的なクルマの挙動とはどのようなものだったか、そしてそれを実行するために必要な操作とそのタイミングはどのようなものだったかを組み立て直し、またトライします。YRSのサイトに連続写真がありますのでご覧下さい。何回目かのセッションにおいて、ステアリングに頼って曲がろうとする(^^;、くにやっこ号の勇姿が見られます。

    くにやっこ号の勇姿:www.avoc.com → 「YRS情報」 → 「YRSオーバルの走り方 例の4」
       (この連続写真に対するインストラクターの方のコメント:YRS掲示板 → [696])

 

 

 

6話 ドライビング・ワークショップ(TDW)に参加してみました 〜 その2 〜

 

そんなこんなで、あっという間に午前中のセッションは終了してしまいました。すぐさまコース1000に移動します。コース1000ではバイクの走行会が行われていて、みんなフルフェイスに革ツナギ、手袋、ブーツでガンバっておりました。こっちはその姿を見ただけで熱中症になりそうだっていうのに・・・(^^;

 

持参したコンビニおにぎり(TDWはお弁当なし)をパクつきながら、頭の中は久々のサーキット走行のことで一杯です。思い起こせば7年前、「ユーノスGP」という走行会でミュー・サーキットを走ったことが2度ありました。1回目は無難に走り終え、タイムもサーキット初体験組の中ではかなり良かったので、「もしかしてオレって上手くない?」なんて有頂天になりました(→このパターンが良くない。まさにくにやっこの人生における自滅パターン(^^;)。

2回目の走行会では1コーナーでどアンダーを出してタイヤバリアにフレンチ・キッス!→フロント・ナンバーが小僧仕様になってしまったり、高速シケインで縁石踏んでバランスを崩し、時速100キロぐらいでコースアウト。15センチぐらいの石に右フロントを引っかけてサブフレームが曲がってしまい、右リアタイヤがバーストするなどさんざんでした。全部が全部、自分のミスなんですけどね(^^;

しかし、今にして思えばあの時は無謀だったヨ・・・(遠い目)。運転をキチンと習いもせず、サーキット走行時の注意点もマナーも知らないのに、危なっかしいったらありゃしませんよね。そのツケがフロントのサブフレーム曲がりとタイヤ1本、そして仲間に迷惑をかけてしまったことだったのです。あの時は何の拠り所もなかったので、とにかくビクビクしながら、一方でアドレナリン出しまくりの無謀な走りをしていたわけです。もちろんクルマの限界も正しい操作の仕方もよく分かっていませんでした。

そして自分と同じレベルの人々がウジャウジャ混走していた状況も、かなりお寒いものだったと思います。結局2回の走行会で、2台のロードスターが廃車になりました・・・。

 

そんなブルーな記憶が頭をよぎります。

 

でも今回は安心感が違います。まず座学で理論を学んだし、オーバルでクルマの操作と挙動変化についても実践できたし、この後コース・ウォークとバンライドもあるしね!

コース・ウォークとは全員でコースを一周歩きながら、インストラクターの方が各コーナーでの走り方のコツや注意事項を丁寧に教えてくださるセッションのことです。ここでは「ご自分のクルマを大切にしていて、今日も無事にご自分のクルマで帰りたかったら、絶対に縁石に乗ってはいけません。挙動が乱れて危ないですし、クルマにも大きなストレスがかかります!」という有り難いコメントも頂戴致しました。かつて縁石に乗って吹っ飛んだ経験のあるワタシにとっては身にしみる一言であります。一方、バンライドとはサーキット走行の経験がほとんどない人達を対象に、インストラクターの方が1BOXカーを使って同乗走行してくださる非常に嬉しいサービスのことです。このコース・ウォークとバンライドは非常に参考になるとともに、安心感にもつながりました。安心感は落ち着いた行動をとるための必要条件ですからね。

 

コース・ウォークとバンライドを終え、ついにコースインの時がやって来ました。

20数台の参加車両は2つのグループに分かれており、ワタシはなぜか速そうなクルマのグループに編成されていました。なんかちょっとだけ嬉しいような気もする一方で、すっげ〜不安でもありました。同じグループには964カレ4とかR34GTR(うげ〜!Sタイヤだ)、S2000(こっちもSタイヤだ!)なんかもいました。やべ〜、どうしよう・・・。

まずは完熟走行でゆっくりと、その後だんだんペースが上がってくるのですが、自分としては精一杯走っているのに、964カレ4にはどんどん離され、S2000とGTRにはアオられまくり、という最悪の展開に。「パッシング・ポイントは表裏のストレートだけ」とあらかじめ決められているので危ないシチュエーションにはならないのですが、とにかく速いクルマにはどんどん追い抜いてもらい、ひっそりコソコソ走っておりました。そうこうしているうちに、スゴく長かったような、でもあっという間の第1セッションが終了し、ほうほうの体でピットに戻って来たときにはすでにグッタリしておりました(^^;

 

 2回目のセッションでは964カレ4やGTRやS2000の後からコースインしました。でも前のセッションほどボロボロではありません。その秘密は、第1セッションと第2セッションの間に同乗走行があって、トムさんにボクスターを運転していただきながら、「こんな感じで走ればいいんだ」ということを体験していたからなんです。たぶん自分だけで黙々と走っていたら50ラップぐらいしないと気づかなかったであろうことも、たった数周の同乗走行でバッチリ分かってしまうんです。同乗走行をしてもらっただけでも参加した価値があります。

 

 そして3回目のセッションでは、前2回よりもさらに安定した走りができるようになりました。2回目と3回目のセッションでは計時してもらえるのですが、後で分かったウレシイ事実は、16周したうちの最後の6周では47±0.2秒で安定したラップを刻み続けることできたことでした。よくトムさんが「ある周回でポンと良いタイムが出たのに、次の周は1秒も遅くなってしまうような走りはダメ。安定したラップタイムを刻めるようになりなさい」と仰っていたので、それが少しでもできるようになってきたのは大きな収穫でした。

でも最低1回は必ずどこかのコーナーでミスっていたので、そのミスが微妙なバッファーになっていたのかも知れません(爆)。ただし、さまざまな因果関係は考えられるものの、一般論として、安定したラップタイムが刻めたということは、少しはコースに慣れてきて、正しい操作がだんだんできるようになってきたということを意味するのでしょう。限界に近い領域で安定して走るためには、操作ミスをしないのが一番なので、できるだけ正確に、丁寧に、ゆっくりと操作して、クルマがあらぬ動きをしてしまわないよう、つまり急激な挙動変化を起こしてしまわないよう、ひたすら心がけて走っておりました

 

 そんなこんなで、「ある秘密」(後で白状します(^^;)を抱えながらもTDWは無事終了し、終了式ではラップタイム表と修了証書をいただきました。あ〜ウレシイな修了証書(^^)。この日も9時間みっちり。非常に充実した楽しい一日でした。

 

そして・・・案の定、翌日は左ケツ痛に悩まされたのであります(^^;

 

 

 

7話 ポルシェの高性能とドライビング・スクールで習う技術

 

TDOとTDWに参加して、痛感したことが2つあります。

 

ひとつは「クルマを安定して速く走らせるためには、自分が走ろうとするのではなく、クルマが動きやすい環境を作ってあげなければダメ」ということです。理屈の上では当たり前のことですが、じゃあ実際に自分でそのような操作ができていたかといえば、ワタシはできていませんでした(もちろん今も練習中(^^;)。

 

そしてもうひとつは、ポルシェはサーキットでもスゴいということです。でもこのポルシェのスゴい領域は絶対に公道では試せないレベルだと思います。ていうか絶対に試してはいけません!!! 自分にも、クルマにも、周囲の方々にも、そして自分の家族にも、過大なリスクを強いることになってしまいます。

ワタシが感じたポルシェのスゴさとは、まずはブレーキ性能(制動力・耐フェード性など)、シャシー性能、そしてありがとう、PSM!の3点です。特にPSMについては、正直いって今回のTDWでモトを何回も取ったと思います。タイヤがタレてきたのに気がつかず、1コーナーに突っ込んで危うく「さよ〜なら〜♪」しそうになった時。最終コーナーでアンダーを出してしまった時。いつもさりげなくフォローしてくれました。オーバルではPSMオフでも大丈夫ですが、サーキットを走るときは慣れるまでPSMオンで行きたいと思っております。

ボクスターは50km/hで流していてもスゴさが分かるクルマだと思います。普通にそこらへんをトロトロ流していても、こんなに感じる♪クルマってなかなかないですよね! もちろんお得意の超高速巡航では、これまた素晴らしいスタビリティを味わうことができます。

そしてTDOとTDWで味わったスゴさはポルシェの限界付近でのスゴさです。これは一般公道で知りうるスゴさとは微妙に違います。そしてこれがまた、非常に味わい深いスゴさなんですよ。うまく説明できないので、是非一度実感してみてください。

ところで、スゴいことだらけのポルシェですが、反対にヤバいところはないのでしょうか? ワタシが思うに、それは、クルマがあまりにも高性能すぎて、ドライバーが操作を少々誤ってもクルマがバッチリとフォローしてくれるため、自分のウデがいいのか、クルマの性能に助けてもらっているのか区別がつかなくなってしまうことだと思います。ポルシェに乗れば誰でもソコソコ速く走れてしまいますからね。でも、もちろんいかにポルシェといえども物理法則を越えることはできないわけですから、いつか「もう僕にはムリだよ〜(; ;)」とバンザイされてしまうかもしれません・・・。

 

この文章をここまで読んでくださった皆様方には、せっかくポルシェを手に入れられたのですから、是非とも所有している何年間かのうちに一度でもちゃんとしたドラスクに参加して、経験豊かなスタッフのもとで正しい知識を身につけ、その後で思う存分ポルシェの実力を堪能していただきたいです。絶対に1日潰してでも行く価値はありますよ。きっと愛車に対する印象が変わると思います。

 

 さて話をドラスクに戻します。サーキットに行けば行ったで、やはりラップタイムは気になります。もうそれは本能としか言いようがなく、コンマ1秒を削り取ってタイムを刻んでいくことに、いつの間にやら誰もがアツくなっていることでしょう。でもそれだけがサーキット走行やドラスクの目的ではないはずです。だって我々はプロのレーサーじゃあないんですから。むしろ安定した好ラップを連続することの方が、僕たち素人にとってはよっぽど大事なのではないでしょうか。「まずあらかじめ何秒で走ろうなんて考えるのはバカバカしい。あくまでもラップタイムは結果としてついてくるものである」とはYRSの大石インストラクターのお言葉です。

あくまでもワタシの私見ですが、間違ったクルマの操作をしているうちは、決してサーキットで安定した好ラップを連続して刻むことはできないと思います。安定した好ラップを続けるために要求されるのは、「スムーズな操作」「クルマが走りやすいような操作」「理にかなった操作」です。それらがきちんと身につかない限り、安定した好ラップを続けるのはムリだと思います。たまたま上手く行ってしまった1ラップはあっても、それをコンスタントに10周、20周続けることはできないでしょう(もちろん、まだワタシもできません・・・要修行です(^^;)。

そして安定した好ラップを連続して刻むために身につけた技術は、サーキットでしか役に立たないなんてことがあるはずがありませんそこで学ぶことは、物理法則の下での理にかなった正しいクルマの操作方法です。サーキットで要求される技術や操作はクルマの限界領域、つまりヒトにもクルマにも余裕があまり残っていない状態でのことですから、より正確な操作を行うことが必要です。その技術を身につけて、今度はサーキットに比べて操作マージンの大きい一般公道を走るならば、身につけた正しいクルマの操作方法は僕らに安全と喜びと余裕を与えてくれるはずです。そこら辺を普通に走っていても、必ずクルマは加速し、減速し、曲がるわけです。その端々に、いつでも身につけた技術が発揮できると思います。

 

まだ2回しかドラスクに参加していないにも関わらず、エラそうなことを長々述べておりますが、たった2回の経験ですが、少なくともワタシの中では意識改革が起こり、YRSのスピリットは理解できたつもりです(ですから逆にここでは意識のお話しやエピソードしかご紹介できないのですが・・・(^^;)。そして習ったことを日々思い出し、普段のブレーキングやコーナリングの中で理にかなった操作を大人しく反復練習しているところです。そしてその成果は、助手席の同乗者にも明確に分かるそうです(先日、連れがそう語っておりました)。

 

ポルシェを上手く操れるようになって味わう10000キロの道のりと、ポルシェの高性能にいつも助けられて過ごす10000キロとでは、クルマ好きとして味わう喜びと負担しなければならないリスクの総量が俄然違うはずですよね!

 

もちろんワタシは前者を目指しています。

 

 

 え〜〜、最後に「ある秘密」について白状いたしましょう。

実はワタシ、TDWに参加した時点ではまだヒール&トー(H&T)ができなかったんです(爆)。

ロードスターの時にはルンルン♪で楽勝だったのに、ボクスターになってからは上手くできなくなってしまったんですよ。それなのにコース1000に行くなんて・・・やはりアホですね(^^;。一応練習してからTDWに臨んだんですが、正確な操作が身につくほどには上達しておりませんでした・・・。

上手く行かない原因は右手シフトの問題とペダル配置の違いにありました。特に前者は、なぜか咄嗟に3速からリバースに入れたくなってしまうんですよ。危なっかしいったらありゃしません。どうも長年の右ハンドル経験により、「H&Tでは体の外側にギアを入れるべし」と刷り込まれてしまったようです。ちなみに後者については後日お金で解決いたしました(^^; (IMEC横浜にてペダルセットを購入)。

コース1000では第1ヘアピン裏ストレートから最終コーナーに差しかかるところで3速→2速のH&Tが必要になります。ではワタシはどうやってしのいだのでしょうか? まず第1ヘアピンについては、メインストレートで3速に入れ、そのまま1コーナー → 2コーナー → 第1ヘアピンと走ってきてしまうのでゴマカシようがありません。ただし第1ヘアピンの前には短いストレートがあるので、横Gが消えた状態で落ち着いてH&Tに臨むことができます。それにも関わらず5回に1回の成功確率でトライしてはミスを連発。後輪がロックしてしまうこともしばしばでした。ごめんね、くにやっこ号、そして後続車の皆様方・・・。

一方、最終コーナーへのアプローチは裏ストレートがゆるく左にカーブした直後から始まるため、最終コーナーの進入に備えて横Gが消えるや否やH&Tしなければなりません。そこでワタシは「裏ストレートでは絶対に3速には入れないもんね大作戦」を敢行し、意地でも2速で引っ張りまくってゴマカシ続けました(でも3速には数秒しか入らないのですから、2速で引っ張り続けてもあんまりラップタイムに影響はないかもしれません)。

 

 

 

あとがき

 

これまでYRSのことをたくさんお話ししてきましたが、ワタシのメッセージをBOXSTER'S PLEASUREに掲載していただくにあたり、YRS主催者のトム・ヨシダさんから、みなさんにこんなメッセージが届いております。

 

        サーキットはもちろんモータースポーツを開催する場です。ですから峠を走る替わりに走行会と称してサーキットを走るのは間違いです。サーキットではルールとマナーを守らなければ危険です。多くの人がサーキットを走るのは危ないと思っているのは、何でもありの世界がサーキットに入りこんでいるからです。

        YRSがサーキットでドライビング・スクールをやっているのは、とりあえずクルマの限界近くで走れる場所がないからです。サーキットで走ることを危険だと思っている人は、心理としてスピードを出しすぎると危ない、と思っているようです。ボクはスピードを出しても危なくない運転を覚えることが大切だと思います。覚えたとしても、別にサーキットを走る、あるいはレースに出る必要はないのです。

        クルマの運転に必要なのはテクニックではなくて意識です。アメリカのスクールなんかYRS以上に理論的なことだけ話してあとは受講者が考えなさい、というところがほとんどです。それを日本流にモディファイしたのがYRSです。

 

 

最後までおつきあいいただきまして、誠にありがとうございました。

皆様のご意見、ご感想をお待ちしております。

 

 

おしまい

 

2002/07/26

くにやっこ

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